創造的論文の書き方 作者:伊丹敬之
修論を書くにあたって教授から推薦された本を、今年の1月頃に読みました。テクニカルな面というよりは、論文を書く時に根底に必要となる考え方について書かれています。「歩きまわる」ことの大切さなど、常々読み返すと良いことが有りそう。
- 作者: 伊丹敬之
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2001/12
- メディア: 単行本
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メモ
創造的論文とは、仮説の発想と仮説の論証の二つの創造性が豊かにある論文のことである。どちらか一方の創造性でもいいが、どちらの創造性もなければ、創造的論文とは言えない。(P.5)
歩きまわるのを効率良くやらなきゃいけない。そのための最大のコツは、とにかく思考実験の回数を増やすことだ。頭の中の思考実験はただで出来る。その数を増やして、ああでもない、こうでもないをスピーディにやること。(P.13)
自分の思考プロセス、自分がが作業でたどった時間プロセスを、繰り返しても仕方がないと思っても、自分なりに論理構成だと思うものでいっぺんとにかく書いてご覧なさい。それが第一段階。そこで書いたものをじっと見て、この結論を他人様に伝えるにはどういう書き方をしたらいいか、と言うことを次に考えなさい。その結果できるのが、第二段階の文章です。(P.65)
締切のない原稿は何故かけないのかと言うと、論理的に繋ぐとか、全体の構成を考えるとか、あるいは証拠を十分に用意するとか、そういうプロセスというのは、精度をどんどん上げていくとかいうことも考えると、ある意味で再現のないプロセスなのです。(P.79)
自分がやってきたことを、どんどん広げていくという話ではなくて、自分は何の一部であるのかを考える。別な言葉で言えば、自分はさらに何に広がれるかを考えるのではなくて、自分は、より大きな何者であったかを考える。(P.99)
いい研究テーマの第二の特徴は、そのテーマの内容を一言で(つまり短い簡潔な表現で)言えることである。(P.131)
論文は、詩のように自分がどう表現したいかが核心であるというような読み物ではない。読み手の立場に立って、読み手がきちんと自分の言いたいことを理解できるように、何をどう書くかを考えなければならない。(P.187)